平成16年 7月発行寺報より
最近では葬儀でも法事でも子供さんやお孫さんを連れてこないことがあります。「遠いから」「塾に行っているから」何のためらいもなく言います。
病院で亡くなって、看護士さんが手を尽くし、きれいにして下さり、納棺も葬儀社が全部して下さる。遺族は何もすることがありません。以前は亡くなった人の身体を親族中で拭いたものです。私も子供の頃、田舎の祖父の身体を泣きながら拭きました。そういう場面がなくなって来ているので感謝する心が薄くなっています。
「おじいちゃんやお父さんはこの足でこの手で自分たちを育ててくれたんだ」と感謝し手や足を拭いてあげたら、感謝で胸がいっぱいになるものです。ですから、葬儀や法事にも是非、子供さんやお孫さんは連れて来なくてはいけません。葬儀がすめば年回法要です。十三回忌までは墓参りも法事も一生懸命ですが、その先はどうでしょう。
懸命に子供を育て。孫をかわいがって生きて来た人が十年位で忘れられてしまうにはあまりにも短いですね。法事は「回想の心」「自覚の心」「和合の心」です。亡き人を想い、報恩感謝の心に気付き、皆久しぶりにお逢いして近況を語り合い、仲良くしている姿は亡くなった方が一番喜ぶことでしょう。年回法要が何回もやってくることは人生の節目を作る年、気付く年を亡くなった人が残して行っているのです。
心の中に亡くなった人が生きているという大切なことを親は次の代へと伝え、「いつまでたってもあるよね、親から学ぶもの」と言われるような親になりたいと私も思います。
合掌
住職 秋田文範