平成17年 12月発行寺報より
昨年あるお檀家さんより、「方丈さん、親戚からどうしてうちの葬儀の時に緋の衣を着てくれなかったのか、前の方丈さんは着てくれたのに…と言われたんです。」とのお話があり、その衣の色のことで肩を落としている姿に正直言って驚いてしまいました。
緋衣とは、資格があっても簡単に着られるものではありません。私は曹洞宗管長猊下より住職の辞令は受けましたが、緋衣を着るには更に仏の教えによる制度規則に従って行われる晋山式、および結制上堂という儀式を行わなくてはなりません。安全寺は「出世寺」「足かけ寺」と称し、代々の住職が他の大きな寺に出世して行ってしまう為、この寺でこの式が行われたのは昭和56年先代の住職だけです。
晋山式とは―、山に晋む。つまり当山(大蔵山安全寺)にすすみ入るという意味です。曹洞宗管長さま(永平寺貫主 宮崎禅師さま)の命により安全寺住職として正式に当山に歩みをすすめるという式になります。
結制上堂どは―、弟子を育て弟子に教えを示す為、須弥壇上(本堂の真中の御本尊様を安置してあるところ)に上り法を説き、参集の僧達から力量をためされる質問に答えます。そして住職としての力量を内外に示すものです。須弥壇上には仏様だけが上がるものですが、この日は新命住職が仏様に成り代わって禅問答が行われます。この式はお釈迦様の説法を模った大変大切な儀式です。
壇信徒一丸となって行われてはじめて、緋衣許状。名実ともにこの寺の住職となり、緋の衣が許されます。
修行は一生の大事、その日の為にも修行に励みたいと思います。またその時はお力添えご協力を心からお願い申し上げます。
合掌
住職 秋田文範