平成19年 7月発行寺報より
「やぁ、久しぶりですね。お元気でしたか」と友人や知り合いに逢ったときの会話で、かえって来る答えは「はい、おかげさまで」というやりとりを見かけます。この「おかげさま」という言葉を、私たちは普段何げなく使っています。
「お蔭」の蔭は、霊・すなわち先祖のことです。私達日本人は「おかげさま」という言葉の中に、先祖への感謝の心を表しているのです。
「おかげさま」という言葉の一つで何となく心が通じ合うから不思議ですよね。その理由は、先祖が家の繁栄と自分たちの健康を見守ってくれているからだと私は思います。このように日本人は見えない物に対して感謝の心と思いやりの心を昔から持ち続けてきました。
人は善意に対して感謝の心を抱きます。とりわけ自分の両親に対する感謝の念は大きいものです。その意味では、先祖の恩は最高の「おかげさま」だと思います。世の中には先祖供養を軽んじている人もいます。しかし、その人達といえども先祖なくして今の「生命(いのち)」はありません。この「生命(いのち)」に対して感謝し供養することは大切なことでもあります。
合掌
住職 秋田文範